前回は、緊張(ネガティブな感情)が続いたあとにくる緩和(ポジティブな感情)によって快感が強まる、という話をしました。
緊張(ネガティブな感情)
緩和(ポジティブな感情)
この仕組みを活かして、意図的にドラマを生み出すことができます。
いくつか例を考えてみましょう!
創作物での例
こんな風に、主人公の状況や心情の移り変わりと天気の移り変わりをリンクさせる演出は、アニメに限らず映画や小説でも頻出ですね。
普段あまり意識しないで見ていた人もいるかもしれませんが、天気を使った演出は毎日のように見かけることができると思います!
この演出によって、問題が解決したときの爽快感が強められているということを、自分でアニメや映画を見るときも意識してみると、おのずと使いどころが分かってくると思います。
コンテストに向けてロボットを開発してきたが、コンテスト当日の会場で故障が発生(=緊張)。
責任の擦り付け合いから、仲間割れに発展する。(=緊張の強化)。
急遽、遠方から飛行機でスペア部品を運んで間に合う(=緩和)様子を放送する。
これもテレビのドキュメンタリーでは頻出の演出です。
「はじめてのおつかい」のような番組でもそうですが、目標に向かう途中のトラブルによって緊張を発生させ、それが解決することによって快感が得られるという作りになっていますね!
そして、よりドラマを際立たせるために、「緊張の強化」という過程が含まれていることも要注意です。
これがあるとないとでは感動の度合いが大きく違ってくるので、自分で演出するときは必ず「緊張の強化」まで盛り込むようにしましょう!
日常生活での例
実は「緊張と緩和」は創作物に限らず、日常生活をちょっと楽しいものにするためにも活用することができます。
これも例を挙げてみましょう。
きつめの登山コース(=緊張)の後に、温泉に立ち寄る(=緩和)。
休日に計画して登山に行くのは楽しいですよね。
こんなときも、ただ山に登って降りておしまいではなく、プラスアルファで温泉に寄って休憩することまでスケジュールに入れることで、その日一日の満足感を強めることができます。
映画館(=緊張)の後に、いつものマクドナルドに立ち寄る(=緩和)。
人によるかもしれませんが、普通は中高生くらいだとデートで映画館に行くってけっこう緊張しませんか?
映画館は普段使いというより、ちょっとしたお出かけという場所じゃないかと思います。
スリリングな映画やロマンチックな映画を見たあとに、よく行くマクドナルドで安心しながらおしゃべりすると、その日一日が楽しかったな~という印象になります。
デートコースを考えるときは、メインの目的地(緊張)の後に、安心して落ち着ける場所(緩和)へ寄って終わるのがおススメです!
こんな風に、日常生活もある種の創作物のように考えて演出をすることができます。
うまく使いこなせれば、あなたと一緒にいるとなぜかいつも楽しく過ごせるなぁ、という感覚を周囲から持ってもらえるかもしれませんよ!
苦悩する主人公の心情に合わせて、数日間にわたって雨の日が続く(=緊張)ようにする。
悩みが深くなるのに合わせて、雨から嵐になる(=緊張の強化)。
最後に悩みが解決するタイミングで、雲の割れ目から太陽の光が差し込む(=緩和)様子を描く。