相手が受け入れやすいように助けるコツは、
助ける方が上、助けられる方が下、という感覚が生じないように配慮する
ことです!
窮地に陥っているという劣等感
まず、助けが必要な状況に陥っている人というのは、その時点で次のような劣等感を持っていることがあるんです。
- 自分の不手際で問題を起こしてしまった
- 自力で解決できる能力が不足している
トラブルに陥った際の劣等感の感じ方は、人によって程度は違いますが、全くゼロという人はほとんどいません!
また、自分のせいだとは思っていなかったとしても、そのように周りから見えるのではないか、という恐れは持っている場合があります。
こんなときに、
「大丈夫?」
「大変そうだね」
「手伝ってあげる」
といった言葉をかけられることで、
劣等感や、メンツに対する恐れが強まる
場合があります。
それを避けるために、つい反射的に
「大丈夫!」
「どうってことないよ」
「いいよ、先に行って」
なんて返してしまうことがあるんです!
支援者に対する劣等感
さらに、支援者に対する依頼の言葉である
「お願いします」
や、感謝の言葉である
「ありがとう」
などを言うことでも、劣等感が強まる場合があります。
なぜならこのような言葉によって、
- 相手の方が自分よりも余裕や能力がある
- 相手に対して自分は借りがある
と認めることになり、
支援者の方が自分より立場が上という感覚
が生じるからです。
相手と同じ高さに降りて助ける
さて、では「大丈夫?」や「ありがとう」という言葉を使わなければいいのか、というとそうではありません。
それらの言葉を使いながらでも、自分の失敗談を共有したりすることで、劣等感を持たせなくすることはできます。
ポイントは、一段上から助けているイメージを払しょくする、ということです。
まず自分から階段を降りて、下にいた相手と同じ高さになってから話しかけるような感覚です。
前回の記事で挙げた例も参考に、いろいろ試してみてください!
関連書籍を見る
「人を助けるとはどういうことか ― 本当の『協力関係』をつくる7つの原則」
エドガー・H・シャイン (著), 金井壽宏 (著), 金井真弓 (翻訳)
この本では、支援する人とされる側の上下関係について、
「ワン・アップ」・・・支援する側
「ワン・ダウン」・・・支援される側
という言葉を使って説明をしています。
関連部分を見てみましょう!
助けを求めることは、相手に対して自分を脆弱な立場に置くことを通常は意味する。その場合には、何らかの助けを求めてきた人の面子を台なしにすることなく、対応することが大事になる。支援する側は、ワンアップするため、人を助けるという優位でパワフルな立場だと見られ、支援される側は、ワンダウンと感じてしまい、助けてもらいたいという脆弱な立場に立っている。自分のそのような立場を、助けを求める発言によって、自ら相手に表明することになる。この関係の機微を、誰よりも支援する側がしっかり理解していないといけない。
エドガー・H・シャイン; 金井壽宏. 人を助けるとはどういうことか ― 本当の「協力関係」をつくる7つの原則 (p.248). 英治出版株式会社. Kindle 版.
この本は社会人向けに書かれていますので、出てくる具体例は、企業コンサルタントが経営者にアドバイスするといったものです。
このため中高生の皆さんにはちょっととっつきにくい本だと思います。
なので、ぜひ買って読みましょう、という感じではないのですが、大人の世界でも同じように起きている問題なんだということは知っておいてもいいかと思い、紹介だけしておきます!