科学や文化というのは、時代とともにどんどん発展しています。
実はその発展の仕方には、お決まりのパターンがあるんです!
ファッションを例にして考えてみましょう。
パンツのスタイルの変遷
スキニー、ワイド、スリムフィットというパンツ(ズボン)のスタイルについて見てみます!
スキニーパンツの流行(2000年代後半~2010年代前半)
タイトフィットで脚のラインを強調するスタイル
ワイドパンツの流行(2010年代後半)
ゆったりとしたシルエットで快適さを重視したスタイル
スリムフィットパンツの流行(2020年代)
タイトすぎない細身のスタイル
ポイントとしては、
- 細身のスタイルとしてスキニー
- 対極的なスタイルとしてワイド
- 両者を融合したようなスタイルとしてスリムフィット
という三つが順に流行したことです。
(流行年代については違う説もあるかもしれません。)
「正・反・合」の考え方
ヘーゲル、というドイツ人の哲学者がいます。
この人が、
物事は対立を通じて発展していく
という考え方を提案しました(弁証法)。
彼によると、まず何らかの主張があったところに、それに対抗する主張が登場します。
そしてこの両者の対立や矛盾を解消するように、より進歩した主張が登場する、という考え方です。
哲学用語では、最初にあった主張を「正」、対抗する主張を「反」、そして対立を解消する新たな主張を「合」といいます。
ドイツ語では「テーゼ」「アンチテーゼ」「ジンテーゼ」と呼ぶようです。
- 正(テーゼ): 最初の状態や立場
- 反(アンチテーゼ): 正に対立する状態や立場
- 合(ジンテーゼ): 正と反の対立や矛盾を解決する、より進んだ状態や高次の立場
細身のスタイルとしてスキニーがあり、対極的なスタイルとしてワイドがあり、それらを融合させたスタイルとしてスリムフィットがある。
このように考えたとき、
- スキニー = 正(テーゼ)
- ワイド = 反(アンチテーゼ)
- スリムフィット = 合(ジンテーゼ)
ということになります。
補足(言い訳)
この記事で挙げたファッションの例が厳密に弁証法に当てはまるか、というと、実は微妙なところもあります。
スリムフィットはスキニーとワイドの折衷案みたいな特徴を持っていますが、弁証法で言うところのジンテーゼは、両者の特徴を併せ持つ折衷案とは限りません。
また、スリムフィットよりスキニーが好きな人もいると思うので、必ずしもスリムフィットがより進歩的とも言えないですね。
ただ、ぶつかり合う主張から新たな主張に至るという流れが、身近な言葉を使って少ない字数で説明しやすいと思ったので、厳密さには目をつぶることにしました。
・・と、言い訳しておきます!