科学者たちの常識=「パラダイム」

これまでの定説では説明しきれない実験結果が積み重なってくると、定説を覆す新たな説明が必要になります。

そうした新たな説明は、今までの常識をひっくり返すものになります。

そして科学者たちが用いる理論や実験手法、道具や装置などを、ガラッと様変わりさせることになるんです。

「パラダイム」とは

ここで新しい言葉を一つご紹介しましょう!

パラダイム(Paradigm)

という言葉、聞いたことありますか?

科学・哲学界隈で特によく使われるので、ぜひ覚えておいてください!

パラダイムとは、

「ある特定の分野や時代において、一般的に受け入れられている概念、理論、方法論、価値観などの総体」

を指します。

と言われても、よく分かりませんよね。

例を挙げてみましょう!

スポーツのパラダイムの例

例えば現代において、

スポーツでは、人間の肉体を使ってプレーする

ことが大前提になっています。

サッカーにしても、水泳にしても、人間が自分の体でプレーします。

だからスポーツ選手というのは必ず体を鍛えるトレーニングを行います。

筋トレやストレッチのようないろんなトレーニング方法があり、そのためのトレーニング器具があります。

さらにマッサージやけがの治療といった、スポーツ選手のために体のケアを行う方法や、スポーツドクターという職業も存在します。

そして筋力を増強する薬の使用は不正とされる倫理観が存在します。

このように、スポーツは人間の体を使って行うもの、という前提から派生して、様々な方法論や道具、価値観が生まれています。

だけどこれがある日、

スポーツは、ロボットを遠隔操作して行うもの

という前提に変わったとしたらどうでしょう?

このとたん、スポーツ選手のトレーニングメニューから筋トレはなくなります。

スポーツ選手のけがの治療を行う職業もなくなります。

筋力を増強する薬の使用は問題なくなるかわりに、カフェインのような覚醒物質が新たに禁止されるかもしれません。

こんな風に、ある分野において広く前提とされていたことが変わることによって、

方法論や道具、価値観がガラッと様変わりする

ことが、人類の歴史の中で何度も起こってきました。

このような、

「ある特定の分野や時代において、一般的に受け入れられている概念、理論、方法論、価値観などの総体」

のことを「パラダイム」と呼び、

「パラダイムがガラッと様変わりすること」

を「パラダイム・シフト」と呼びます。

「シフト」というのは、英語で「変化」という意味です。