セット動作を生かせるジャンル


複数の動作を「セット動作」にすることにより、三つのメリットがあるという話を、ボクシングを例にお話ししました!

  • 1回の意識で複数の行動ができる
  • とっさに繰り出すことができる
  • 同時に別のことを考えられる

 
他のジャンルでも、セット動作を活用できるでしょうか?

 

色んなジャンルでのセット動作の例

ダンスでは、振り付けを覚えることがセット動作の典型的な例です。
初めは一つ一つの動きを意識的に覚えますが、練習を重ねることで全体の流れが体に染みつき、音楽が流れれば自動的に体が動くようになります。
そうなれば、踊りながら表現の細かいニュアンスに注意を向けることができます。

楽器を演奏する際、特定のパターンを弾くための体の動きがセット動作になります。
例えばピアニストは、音階(ドレミファソラシドを順に弾く動き)や和音(複数の音を同時に弾く動き)を何度も練習することで、手が自動的に正しい鍵盤を打つようになります。
これにより、演奏中に曲の感情表現やテンポ・音量の変化に集中できるようになります。

料理のプロセスにおいても、包丁の扱い方、鍋の振り方など、何度も繰り返し行うことで基本動作を習得します。
また同じレシピを何度も繰り返すことで一連の動作が自然と身につき、無意識に精度よく再現できるようになります。季節の食材の微妙な違いに合わせて味を調整するなど、より繊細な要素に注意を払うことができます。

サッカーやテニスなどのスポーツでは、ドリブルやサーブといった基本動作が自動的に行えるようになります。
練習を通じてこれらの技術が体に染みつくことで、プレイ中に相手の動きを予測したり、次の戦略を考えたりする余裕が生まれます。

 
このようにいろんなジャンルにおいて、複数動作を一つのセットとして繰り出せるように準備しておくことが有効なんです!

無意識レベルの動作によって、スピードや効率を上げることができ、さらに意識を他に向ける余裕も生まれます

そしてそれぞれのジャンルにおいて、このような無意識にできるセット動作を習得するために、

基礎練習

というトレーニングが存在しています。

基礎練習についてはまた別の機会にお話ししたいと思っています。

もしあなたが今すでに習い事や部活動で「基礎練習をたくさんしなさい」と言われているならば、こんなメリットを手に入れるためなんだ! と思いながら取り組んでみてください!


関連書籍を見る

「達人のサイエンス―真の自己成長のために」ジョージ・レナード (著), 中田康憲 (翻訳)/日本教文社

さて、ここで以前にも紹介したことのある、当サイトのバイブルをもう一度ご紹介しましょう!

今回の記事で「セット動作」として紹介した考え方は、本書の中では

「自動操縦」

と表現されています。

該当箇所を見てみましょう。

学習曲線がマスタリーへ向かって一直線に上昇し続けるというプロセスをたどらないのはなぜなのだろうか?

テニスの例から分かるように、われわれは特定の動作を自分の筋肉に記憶させるか、特定の動作が「自動操縦」になるまで、何度となく不慣れな動きを練習しなければならない。

そのプロセスのメカニズムはまだ明らかにはなっていないが、(中略)意識的な思考より深いレベルで働く「習慣行動システム」にある。

ジョージ・レナード. 達人のサイエンス―真の自己成長のために (pp.27-28). 株式会社 日本教文社. Kindle 版.

部分的な引用ですが、「セット動作」と同様の概念が「自動操縦」として述べられています。

この本は内容的には本当におススメです。

頑張って読んでみようと思う人は、ぜひチャレンジしてみてください。

この本を読破できれば、当サイトは晴れて卒業で大丈夫です!